社会構造が複雑化し、価値観も多様化した現代はストレス社会と呼ばれ、ほとんどの人が何らかのストレスを抱えている。そのストレスが心身に悪影響を及ぼし、結果的に睡眠障害に悩まされている人も増えている。睡眠不足は、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下などを引き起こすだけでなく、免疫力の低下や、生活習慣病のリスクを高めることにもつながる。近年、睡眠に関する悩みや、睡眠障害の治療を専門に行う「睡眠外来」の需要が高まっている。睡眠外来は、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、過眠症などあらゆる睡眠障害の診断と治療を行う医療機関である。治療の際は、問診や睡眠日誌、睡眠ポリグラフ検査などを通して患者の睡眠状態を詳しく分析し、結果に基づいて適切な対応を進めるのが一般的だ。
睡眠障害の人が増えた背景には、生活習慣の変化もある。特にスマートフォンやパソコンの普及は大きい要素だろう。スマートフォンやパソコンから発されるブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制する作用があるとされ、睡眠の質を下げる原因として挙げられている。夜遅くまで仕事をしたり、寝る前にスマートフォンを触ったりする人は多く、国全体で睡眠不足が加速するのは容易に想像できるだろう。加えて、現代人は多様なストレスを受けている。家庭のみならず、職場、近所付き合い、学校の集まりなど、さまざまな役割と立ち回りが求められ、人間トラブルも少なくない。人間関係の構築やコミュニケーションに疲弊し、不眠症に発展するケースはよく見受けられるものだ。睡眠不足は、病気のリスクを高めるだけでなく、イライラしやすくなったり、集中力が落ちたりと日中のパフォーマンス低下にも直結する。そうなれば、状況はもっと悪化してしまうだろう。不眠はその後の人生を大きく左右するため、悩みがあるならすぐに睡眠外来を受診するのが賢明だ。