睡眠負債の蓄積によって起きる症状

睡眠は生命維持はもちろん、心身の健康を守るうえでも不可欠なものである。睡眠中、人体からは成長ホルモンが分泌され、脳、筋肉、骨、内臓、皮膚などのダメージを修復し、身体全体の疲労回復を促している。記憶の整理も睡眠中に行われているため、もし睡眠が十分でなければ、記憶障害のような症状が現れてくる。あなたは「睡眠負債」という言葉をご存じだろうか。睡眠負債とは、慢性的な睡眠不足によって健康状態が侵されている状態をいう。睡眠時間が足りていない状態が続くと、この睡眠負債はどんどん蓄積されていく。

睡眠負債が一定量を超えると、身体にあらゆる不調が起きてくる。日中の強い眠気、倦怠感、疲労感、集中力の低下と注意力散漫、作業効率の低下などは代表的な症状だ。また、身体面では、頭痛、肩こり、食欲不振、便秘、下痢、免疫力低下といった症状が出ることが報告されている。精神面では、イライラしたり、不安や焦りを感じやすくなったりして、感情のコントロールが難しくなる傾向にある。睡眠負債は、自覚症状がない場合が多いため注意が必要だ。日中、ずっとあくびが出たり、眠気を感じたりする場合は、睡眠負債が蓄積している可能性が高い。睡眠負債を解消するためには、睡眠時間をしっかり確保することが大切だ。適切な睡眠時間は人それぞれだが、一般的には7時間~8時間程度の睡眠が望ましいといわれている。さらに、睡眠の質を確保することも大事だ。寝る直前にスマートフォンやパソコンを操作するのは避け、カフェインを摂取するのも控えよう。そしてなるべく、自分に合った枕を購入し、必要に応じてアイマスク、耳栓などを使って、就寝環境を整えるようにしよう。