睡眠外来で働く看護師の中心的業務となるのが、患者の悩みを具体的に聞き取り調査することだ。同じ睡眠不足でも、人によって原因は様々である。精神的なストレスが原因で不眠症になる人もいれば、先天的な体質が関連して寝つきが悪い人もいるものだ。また、同じストレスが引き金でも、具体的な内容は人それぞれ異なってくる。そのため、カルテに「ストレスが原因で睡眠不足」と書き入れるだけではなく、主体的に患者をカウンセリングし、細やかな情報を聞き取ることが重要である。例えば「育児ストレスで急に睡眠を取るのが難しくなった」という場合であれば、今のライフスタイルに不眠症を誘発する要因があり、育児がある生活の在り方を改善するアプローチが治療に必要なことがわかる。
一方で、患者から「数年前から不眠状態が続き、自分では目立った原因や理由が分からない」という言葉を引き出したら、それもまた看護師のカウンセリングの成果である。一見すると原因が不明なためカウンセリングが失敗に見えるかもしれない。しかし、患者自身の口から特に思い当たる理由がないという言葉が出れば、わかりやすいストレスや近ごろの生活に関連した原因ではない可能性が見えてくる。実際、原因不明の不眠状態に悩まされる場合、うつ状態や先天的な体質などが潜んでいる可能性が高い。医師が具体的な診察をする前に、看護師がカウンセリングで事前情報を引き出しておけば、より不眠症のケアがスムーズになるのである。